「会社員として働きながらFP1級を取得した。」

「この資格、本業以外でどう活かせるのだろう」

「2級やAFPまでで十分だったのでは」

そんなことを感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、FP1級は副業において明確な優位性を持ちます。

ただし、それは「資格を持っているだけで自動的に稼げる」という意味ではありません。

1級ならではの信頼性を、具体的な行動にどうつなげるかが重要です。

本記事では、FP1級と他の資格レベルとの違い、副業でどう有利になるのか、具体的な仕事内容と収入の目安、そして就業規則や法令上の注意点まで、実務情報と実感の両面から解説します。

FP1級とはどんな資格か(2級・AFP・CFPとの違い)

FPの資格には、大きく分けて「国家資格であるFP技能士(1〜3級)」「日本FP協会が認定する民間資格のAFP・CFP」の2系統があります。

資格認定機関取得ルート合格率の目安特徴
FP2級国家資格(きんざい/FP協会)3級合格後 or 実務経験等40〜50%程度副業の入口として最も一般的
AFP日本FP協会(民間)2級合格+AFP認定研修修了CFPを目指す前提資格
CFP日本FP協会(民間・国際資格)AFP認定後、6課目全合格各課目30〜40%程度/6課目一括合格は1割未満知名度・国際性が強み
FP1級国家資格(きんざい/FP協会)学科+実技の両方に合格学科は10%前後(3〜15%の幅、2025年9月15.4%・2026年1月12.51%)国家資格として最難関

FP技能士1級は、学科試験と実技試験の両方に合格することで取得できます。

学科試験は金融財政事情研究会(きんざい)が年3回(5月・9月・1月)実施しており、合格率は回によって差があるものの、おおむね10%前後で推移しています(2025年9月実施回は15.4%、2026年1月実施回は12.51%)。

3〜15%程度まで振れ幅がある年もあり、2級(合格率40〜50%程度)と比べて難易度が大きく上がる資格です。

一方のCFPは、日本FP協会が認定する国際資格で、AFP認定者であることが受験の基本条件になります。6課目すべてに合格する必要があり、各課目の合格率はおおむね30〜40%程度、6課目を一度にすべて合格する人の割合は1割に満たない年もあるほどです。一般的には「FP2級→AFP→CFP」というルートで取得を目指します。

FP1級とCFPはどちらも「学習範囲が広く、実務でも通用する深い知識」を証明する資格という点で共通しています。どちらを選ぶか、あるいは両方を目指すかは、国家資格としての信頼性を重視するか、国際資格としての知名度を重視するかで判断すると良いでしょう。

FP1級を取得すると副業でどう有利になるか

FP1級を取得すると、副業において

主に3つの点で有利になります。

観点内容
信頼性相続・事業承継・退職金設計など複雑な相談で、資格の格が受注可否を左右することがある
仕事の幅執筆・監修案件で「1級保有者限定」の条件が設定されているケースがある
単価交渉実績が少ない初期段階では、資格の級が価格交渉の材料になりやすい(継続的な高単価受注には実績の積み上げが別途必要)

信憑性

“FP1級”の肩書は初対面のクライアントやクライアントへの信頼性アップに繋がります。

FP2級やAFPを名乗る人は世の中に数多くいますが、FP1級保有者はその中でも一段上の専門性を客観的に示せます。

特に相続や事業承継、退職金設計など複雑な相談を扱う場面では、資格の格が案件の受注可否を左右することも少なくありません。

仕事の幅

FPの高度な知識により、任せてもらえる仕事の幅が広がることもあります。

記事の執筆・監修案件では、発注者側が「1級保有者に監修してほしい」と条件を設定しているケースがあります。

セミナー講師や企業研修でも、参加者に対する説得力という点で1級保有は強みになります。

単価交渉

高度な知識の賞味いは単価交渉も優位に進める傾向があります。

資格そのものが単価を保証するわけではありませんが、実績が少ない副業初期の段階では、資格の級が価格交渉の材料になりやすいのは事実です。

ただし、これはあくまで「入り口での優位性」であり、継続的に高単価案件を得るには実績の積み上げが欠かせません。

FP1級を活かした具体的な仕事内容と稼ぎ方

FP1級を活かせる副業には、主に以下のような種類があります。

個人・法人向け資産コンサルティング

個人であればライフプラン作成支援や保険の見直し、資産運用のポートフォリオ提案、住宅ローンの借り換え相談などが中心です。

法人向けでは、経営者個人の資産形成に加え、事業承継や退職金準備、従業員向け福利厚生制度の設計といった、より専門性の高いテーマを扱うこともあります。

1級保有者はこうした複雑な案件でも対応力を示しやすく、個人の同僚・友人からの紹介や、地域の商工会議所での人脈を通じて依頼につながるケースが多く見られます。

ただし、特定の金融商品の販売・勧誘や、個別銘柄・売買タイミングに踏み込む投資助言を業として行うには、金融商品取引法や保険業法に基づく別途の登録・資格が必要です。

FPとして提供できるのは、あくまで中立的な情報提供とプランニング支援の範囲にとどまります。

専門記事の執筆・監修

副業として始めやすい仕事です。

金融メディアや不動産メディア、保険比較サイトなどが主な発注元で、クラウドソーシングサイトへの登録や、メディア運営会社への直接提案で案件を獲得するのが一般的です。

実際の執筆に加え、他のライターが書いた記事の内容チェックを行う監修業務もあり、1級保有は監修者としての起用条件になっていることも珍しくありません。

最初は単価の低い案件でも、実績を積むことで文字単価や監修料のアップが期待できます。

専門分野を一つに絞って発信を続けると、同じメディアからの継続依頼や、他メディアからの指名につながりやすくなります。

セミナー・企業研修の講師

NISAやiDeCoの基礎、住宅ローンの選び方、退職金の受け取り方、相続対策など、テーマは幅広く設定できます。

自身でSNSやブログを使って集客するオンラインセミナーのほか、セミナー会社からの依頼、企業の従業員向け研修、自治体の生涯学習講座への登壇まで、活動の場は多岐にわたります。

大勢の前で専門知識をわかりやすく伝えるプレゼンテーション能力が求められる一方、講師としての評価が積み重なれば、継続依頼や講演料の増額にもつながります。

特に企業研修は、個人向けセミナーより一段高い信頼性が求められる場面が多く、1級保有が依頼のきっかけになりやすい領域です。

お気軽に下記フォームにてご相談ください!

収入の目安と取得コストとの費用対効果

副業FPの収入は案件の種類や活動頻度によって幅があります。ここでは収入イメージ、取得コストに対する費用対効果、そして陥りやすい失敗パターンの3つの観点から整理します。

観点内容
収入の目安執筆・監修・セミナー・コンサルなどを組み合わせ、月数万円〜十数万円規模を目指すのが現実的な初期ライン
費用対効果受験料・講座費用・数百時間の学習投資を金銭だけで即回収するのは難しいが、体系的な知識は本業・資産形成にも活きる
稼ぎづらいパターン実績のない状態でいきなり高単価の相談料で稼ごうとすると受注が難しい。まず執筆・アシスタント業務で実績を作るのが現実的

収入の目安

副業FPの収入は、案件の種類や活動頻度によって大きく幅があります。

執筆案件であれば文字単価数円〜十数円、監修料は1本数千円〜数万円程度が相場です。

セミナー講師は1回あたり数千円の謝礼から、実績を積んだ場合は数万円規模の講演料になることもあります。

コンサルティングは相談1回あたり数千円〜1万円台からのスタートが一般的で、いきなり高単価で安定受注できるケースはむしろ少数です。

複数の案件を組み合わせることで、月数万円〜十数万円規模の副収入を目指すのが現実的な初期ラインといえます。

費用対効果

正直なところ、FP1級を取得したからといって、初月から大きく稼げるわけではありません。

学科・実技それぞれの受験料や講座費用、勉強にかけた数百時間という投資に見合う収入を得るには、案件を継続して受注し、実績とポートフォリオを積み上げていく期間が必要です。

それでも、資格取得の過程で得た体系的な知識は、副業だけでなく本業や自身の資産形成にもそのまま活きるため、金銭的なリターン以外の価値も大きいと言えます。

稼ぎづらいパターン

稼ぎづらいパターンとしてよく見られるのは、相談料だけで早期に稼ごうとするケースです。

実績のない状態でいきなり高単価の個別相談を受注するのは難しく、まずは執筆やアシスタント的な業務で実績を作り、そこから相談・コンサル業務へ広げていくほうが現実的です。

具体的な稼ぎ方はこちらに詳しく書いています。

FP1級を活かした副業の注意点(就業規則・法令・確定申告)

FPとして副業を行う際は、本業の就業規則、関連する法令、そして税務のそれぞれについて事前に押さえておくべきポイントがあります。まずは全体像を表で確認し、その後カテゴリごとに詳しく解説します。

カテゴリ内容
就業規則副業禁止・許可制の企業もあるため、案件獲得前に必ず確認。無許可発覚時は懲戒処分のリスクもある
保険業法登録なしでの保険商品の勧誘・募集は抵触の可能性
金融商品取引法登録なしで対価を得て個別銘柄・売買タイミングを助言する行為は抵触の可能性
税理士法・弁護士法具体的な税務相談・税務書類作成代行、法律相談はFP単独では不可
確定申告副業所得(経費控除後の利益)が年間20万円超で原則申告が必要。領収書・請求書は保管必須

就業規則

副業を始める前に、必ず本業の就業規則を確認しましょう。

副業を禁止している企業や、事前の許可制を導入している企業も少なくありません。

無許可で始めて発覚した場合、懲戒処分の対象になるリスクもあります。

保険業法・金融商品取引法

保険募集人としての登録がない状態での保険商品の勧誘・募集は、保険業法に抵触するおそれがあります。

同様に、投資助言・代理業の登録なしに対価を得て個別銘柄や売買タイミングを助言する行為は、金融商品取引法違反となり得ます。

税理士法・弁護士法

税理士法が定める具体的な税務相談・税務書類の作成代行、弁護士法が定める具体的な法律相談も、FPが単独で行うことはできません。

FPの役割は、あくまで中立的な情報提供とライフプランの作成支援にとどまる点を意識しましょう。

確定申告

副業による所得(収入から必要経費を差し引いた利益)が年間20万円を超える場合は、原則として確定申告が必要です。領収書や請求書は必ず保管し、帳簿をつけておきましょう。

出典:確定申告が必要な方(国税庁) 出典:1級FP技能検定 試験要綱(日本FP協会)

まとめ・始め方の第一歩

FP1級は、副業において信頼性・案件の幅・単価交渉のいずれの面でも有利に働く資格です。

ただし資格そのものが自動的に収益を生むわけではなく、就業規則の確認、法令上の業務範囲の理解、実績の積み上げという地道なプロセスが欠かせません。

まずは本業の就業規則を確認したうえで、クラウドソーシングサイトへの登録や、自身の得意分野を発信するブログ・SNSの開設など、小さく始められる一歩から着手してみましょう。